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2005/01/09 スマトラ大津波〜世の中はそう捨てたものではない 

今週号の週刊新潮の巻頭はスマトラ大津波の特集。痛ましいエピソードばかり。まだ死者の全貌が把握できないほどの地球的惨事だが、人口密度の特に高いアジアで起こったというのも悲劇を大きくした原因だ。スウェーデンやドイツからタイに来る観光客があれほど多いというのも意外な気がする事実であった。日本人の不明者も全員の安否が分かっていないようだが、ツアーならともかく、個人で航空券やらホテルやら手配して旅行していると把握するのも困難。海外旅行が珍しいものでなくなり地球が狭くなっただけ、誰にでも被害が及ぶ可能性が高まる。

12歳にして両親と弟を一気に失った少年も実に気の毒。その喪失感は想像もできない。先週のTVでインタビューに答えていたが、落ちついて質問に答える様子が実に気丈。子供の心というのは意外に強靭でしっかりしているのかもしれない。

もっとも、災害が彼の人生に刻んだ刻印は永遠に消えない。つくり笑いの偽善、見せかけや売名のための同情。今後の人生で、潔癖な少年の心には、時として嫌なものも映るだろう。しかし、それでもなお、世の中はそう捨てたものではない。彼の負担にならないよう、ひっそりと示される市井の人々による代償を求めない善意。彼に刻まれた運命の刻印は、彼が通り過ぎた後にふと気づく、そんな幸運をも呼び寄せるはずだ。世の中はそう捨てたものではない。そうあってもらいたいと思う。