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2002/12/26 運命の女神は白木葉子の口を借りて囁く

週刊文春の新年特別号に、「わが青春の傑作マンガ・ベスト100」という企画がある。各界の著名人に、好きなマンガ・ベスト5を選んでもらい、集計してTOP100を決めている。結果は、1位が「鉄腕アトム」で、2位が「あしたのジョー」、3位が「巨人の星」。

ちょっと前にも書いたが、最近、月2回発行の、少年マガジン名作セレクション、「ジョー&飛雄馬」というのに凝って、発売日には必ず購入して昔の名作を追体験しているわけである。やはり、「あしたのジョー」は凄いな。

昨日発売されたのは、永遠のライバル、力石が自分との試合後に急死した後、抜け殻のようになって街を放浪するジョーを描いた回。力石の死に傷ついた白木葉子も、毎夜、夜の街をさまよう。ある新聞記者の底意地の悪い計らいで出会う傷心の2人。しかし、腑抜けのようになったジョーを、白木葉子はなじる。

「ウルフ金串のアゴを割り再起不能にし、力石をも死に追いやったあなたは罪深きボクサー」、「あなたは2人に神聖な負債がある」、「自分はリング上で死ぬべき人間なのだと自覚しなさい」と。

矢吹丈がリング上で真っ白に燃え尽きるあのラストシーンは、すでにここに暗示されている。そう、白木葉子の言葉は、まるで巫女の神託のように聞こえる。「リングに帰り、そして死になさい」と。野獣死すべし。運命の女神は白木葉子の口を借りて囁くのだ。