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2000/05/27 ヒクソンvs船木戦を見た

昨日の夜は、TV東京で「ヒクソンvs船木」戦を見た。ディレクTVで放映するなんて話を以前にどこかで見たような気がするが、すでにディレクTVは事業をSkyPerfecTVに売却して撤退を決定している。そうすると、やはり放送はTV東京だけなのだろうか。

ま、それにしても、スポンサーがつかなかったか、場末のTV東京でたったの1時間枠というのも寂しい扱い。いよいよゴングが鳴って両雄が組み合ったとたんに、画面が切り替わってアデランスのCMが流れるというのがいかにもTV東京らしいセコさである。

録画だからそこで切ったといえばそれまでだが、あんなところでCM流したら、まったくの逆効果で、金貰ってるスポンサーへの背信行為だと思うけど。試合が始まっても、中継のカメラの切り替えがボンクラで、余計なところでセコンドを長々と映したりして、緊迫する肝心のシーンをあれこれ取り逃している。やはり他の局でやってほしかった。

序盤のもみ合いでは、ヒクソンの汗がひどく、意外に消耗してスタミナを失ってるような気がしたが、グラウンドに船木をムリヤリ引きずりこんでからはまったくヒクソンのペース。ギロチンチョークで船木の腕をほどいた後は、完全なマウントポジションを獲得。こうなると完全にヒクソンのペースである。

無表情に拳を振るうヒクソンを見ると、格闘技というより、「リンチ」とか、「鉄拳制裁」とかの言葉が思い浮かぶ。相手の手を後ろにひねり上げて使えなくして顔面にパンチ入れるというのは、ほとんどイジメの世界であるが、まさに歴戦の恐ろしい凄みと言おうか。

なんでも頭突きとヒジ打ちが禁止のルールだったらしいが、それを許しても船木に勝機があったかどうか。大木金太郎じゃあるまいし、頭突きなんか自分だって痛いもんなあ。船木のほうが高田よりはグラウンドで通用すると思ってたが、やはりああいう形になるとヒクソンは凄まじく強い。

結局、船木をボコボコに殴ったあとで、後ろに回ったヒクソンがチョーク・スリーパーで船木を「落とす」。頚動脈の血流が完全に止まると、人間の脳が意識を失うまで数秒である。船木のセコンドからタオルが入ったらしいが、レフェリーが気づかないうちに(このレフェリーもちょっと鈍であったが)、すでに船木の眼は光を失い、意識は途切れていた。タップしなかったのは最後に残った意地だろうか。

決着ついて離れる時にヒクソンが船木の背中を蹴飛ばしたのは、ちょっと礼を逸した態度に見えたが、好意的にとらえれば、「落ちた」ことが分かって「活を入れた」のかもしれない。柔道家だしなあ。ま、あるいは単に勢いあまって、「思い知ったかこのボケっ!」ってこともありうるが。

結局、船木はパンクラスからの引退を宣言したらしい。まだ30歳なのにもったいない。番組の作りはひどかったが、ヒクソン・グレイシーの強さにあっけにとられた試合だった。