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1998/09/26 『タバコ・ウォーズ』を読んで若年層の喫煙について考えるわたし

外出するのは止めにして、まだ読んでなかった「タバコ・ウォーズ」に取りかかる。

アメリカの巨大タバコ産業が、内部では、タバコやニコチンの害について研究を進め、その害を重々承知しながらも、いかにして巨額の金を投じて、発ガン性についての研究を握りつぶしたり、反対広告を出して事実をカバーアップしてきたかがよくわかる。要するにタバコが習慣性のある毒物である事を百も承知で、黙って拡販してきた訳だ、この産業は。


アメリカではタバコのTVCMはすでに出来なくなっているし、タバコによって引き起こされた肺ガンに対する社会的な医療費について、タバコ産業全体に、25年間で70兆円という天文学的な懲罰的賠償金を課す法案が上程された。

もっとも、これは最終的に上院で否決されたが、世の中の趨勢としては、今後もタバコ産業に個別の訴訟が相次ぐのは間違いなく、将来的にはタバコ産業は、政府に賠償を払う事によって個々の愛煙家からの訴訟を逃れるしか存続の道はないだろう。


実は、私も、アメリカにいる頃は禁煙してた時もあるが、日本に帰ってからタバコを吸う習慣が復活してしまったんだなあ。まあ、タバコの害は他人事ではないのだが、10年以上喫煙期間があると、たとえ禁煙しても発ガンのリスクは下がらないらしい。だとしたら禁煙にあんまり意味ない、と言うのも再度の禁煙に踏み切れない理由のひとつでもあるのだが。

この本にある調査では、21歳過ぎてから喫煙を始める人は非常に少なく、喫煙することになっても、禁煙したり、喫煙の習慣を捨てる事が容易だが、若いうちから吸ってれば吸ってるほど、喫煙の習慣を捨てる事が困難なのだと言う。アメリカのタバコ会社の暴露された内部資料は、昔のTVCMの多くが、実は21歳未満の若年層をターゲットに想定していたものである事を示している。若年層を喫煙に引きずり込めば引きずり込むほど、将来のタバコ会社の収益が保証されるから。(追記:ここで21歳となってるのは、アメリカの成人年齢だからそこで線を引いてるので、日本に読みかえる場合は、20歳としても違いないでしょう)


「マルボロ」というブランドは、もともとはその柔らかい語感から、女性向けブランドとして売られていたのだが、商品イメージをチェンジして、イレズミいれたカウボーイを宣伝に使うようになってから、客に若い男性層の顧客、実は少年層が倍増したんだそうだ。アウトローな大人のイメージが、両親や学校の干渉を嫌い、子供社会からの独立を願ってる少年に強く訴えかけたと言うことだろうか。で、最初は隠れてゲホゲホ言いながら吸うわけです。

まあ、私自身は毒と分かって吸ってるからまあいいけど、日本のJTには、雑誌を含めて一切のタバコの宣伝を禁止してほしいと思う。だいたいタバコのCMは、すでにタバコを吸ってる層には効果は無い。CM見て吸う量を増やしたりはしないし、タバコは嗜好性が非常に強い商品だから、CMで銘柄を変える例もマレだ。また、喫煙者でない成人層は、まさかタバコのCMを見て、タバコ吸いたくなったりはしないだろう。タバコのCMは、アメリカでもそうだったように、実は、喫煙の習慣のない中学生や高校生をタバコに引きずり込む効果しかない。

まあ、未成年者はこの日記を見てないと思うけど、もしも見てたら、タバコは絶対に吸わないほうがいいと忠告したいな。タバコは人生における自分のさまざまな病気のリスクを高めるだけで、見かえりに与えてくれるものは、(無いとは言わないが)あまりにも少ない。吸ってる人間が言ってるんだから間違い無い。

「じゃあ、なんであなたは吸ってるのか」と聞かれるかもしれないが、タバコは若い時から吸い始めれば吸い始めるほど止めにくい。私が喫煙の習慣を身につけたのは17歳の頃だったけど、今ではやはりそれを後悔している。

成人までタバコを吸わなければ、容易に一生非喫煙者でいられる。多くの調査がそれを証明している。だから、タバコ吸うのはやめときなさい、若い人よ。