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1998/05/20 「地球の落とし穴」と「超陰謀」60の真実

会社の帰りで「地球の落とし物」(広瀬隆著)読了。この作者は、ずっと前に、原子力発電所の危険性をうったえた「危険な話」シリーズがベストセラーになり、市民運動などへも発展していったのを覚えているが、近年は、欧米のコングロマリットや軍事産業、政治家などの家系図研究から、色々と陰謀論を読み取る著作に転換した、と言うか、題材が発展してるようだ。

ただし、これは少し軽めのエッセイ。「赤い盾」なんて読んだ時には、膨大な家系図を元に、ロスチャイルドの、この家系のだれそれが軍需産業の総帥の義弟だ、とかなんだとか読まされて、「どうだ」、と言われても、まあ、欧州そして一部のアメリカには、いまだに階級制度が色濃く残っていて、本当の権力と言うものは、ずっと昔から、腐るほど金があって権力を支配していた特定の家系に集中しているのだろうと言う感想しか持てなかった。

まあ、しかし、この本でもあちこちでちらっと触れられている(もっとも、軽めの本なので、作者は用心深い書き方をしているが)「アジアの経済危機は欧米巨大資本の仕掛けた陰謀だ」、とか、「エイズは米軍が遺伝子操作で作った生物兵器だった」とかを説く陰謀史観と言うものは、世界のあちこちに存在していて、ちょっと興味があれば、Yahoo! やALTAVISTAで、「conspiracy」とか「skeptic」とか言うキーワードを検索してみれば、山ほどサイトが引っかかってくる事でも分かる。


最近、読んで面白かったのは、「超陰謀 60の真実」と言う奴で、これはアメリカで出た「The 60 great conspiracies of all time」の邦訳。「ダイアナ妃は暗殺」に始まって「ロズウェル事件」「ユナボマーは真犯人ではなかった」、「オクラホマシティー連邦ビル爆破の陰謀」、「レーガン暗殺はブッシュが指令」、「切り裂きジャックは王家の血筋」、「ロバート・ケネディ暗殺犯、サーハンサーハンはマインドコントロールを受けていた」などなど、楽しい(普通は楽しないって)話題満載の面白い本だった。

アメリカで出た本なのに、「オウム」真理教まで触れているのは、なかなか興味深い。しかし、あのオウム事件はアメリカでも大々的に報じられて、当時は私も、AOLに載ってるロイターのニュースを、毎日「Asahara」とか「Supreme Truth」(真理教がこう英訳された)なんかで検索しては読んでたなあ。

まあ、この本は、決してキワモノではなくて、そう言う、世にまつらう様々な陰謀説について、できるだけ客観的な事実を比較吟味しながら紹介してるような姿勢がなかなか興味深い。しかし、まあ、大抵はデタラメだとしても、なかには真相を言い当てている俗説も、なかには、きっとあるに違いない。

ひとつだけ例を上げるなら、JFK暗殺で、どう考えてもリー・ハーベイ・オズワルドの単独犯とは思えない。ロバート・ケネディの暗殺とも関連があるような気がするし、その後のエドワード・ケネディが大統領戦出馬を断念するにいたった事件(これは、ブライアン・デ・パルマ監督の「BLOW OUT」、日本題は「ミッドナイトクロス」のモチーフにもなった)も、何か陰謀の匂いがするんだなあ。<って、なんだかんだ言いながら、すっかり陰謀史観にはまりこんでいる。