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1998/02/11 「タイタニックは沈められた」

最近のタイタニック・ブームに、「タイタニックは沈められた」(集英社)を再読。2年ほど前に出たこの本では、実は沈没したのは、タイタニック号では無く、同じ時期に建造された姉妹船、オリンピック号であり、しかもこの事故は仕組まれたものだった、と言うなかなかショッキングな推理を立てている。

タイタニックの少し前に就航した姉妹船、オリンピックは、当時の写真などでは、よく取り違えて紹介されたほどそっくり。しかし、就航直後から大きな事故続きで、もはや使い物にならないほどの損傷を受けていた可能性がある。タイタニックの航海直前にはこの2隻は同じドックで並んで修理を受けていた。

会社の有力株主、JPモーガンが、何故か航海寸前に搭乗をキャンセルしてたり、乗組員の中にも、搭乗をキャンセルした者が目立つ。氷山の警戒電報を、乗っていた社長イズメイが握り潰していた事。スミス船長がまったく氷山を警戒せずに、危険な水域に突進していった事実。タイタニック号は、出港直後から傾いていたと言う証言。出港前から石炭庫では火災が続いており、会社はこの事を隠して出港した事。衝突後に、船を救う為の処置がほとんど行われた形跡が無い事。沈没現場付近で目撃された複数の謎の船。

要するに、もはや使い物にならないオリンピック号を、タイタニックの替え玉として航海させ、小さな事故を起こして、乗客を避難させた後で、大西洋上でわざと沈没させて保険金を貰おう、と言うカラクリだったのだが、予想外の浸水と、以前の事故や石炭庫の火災によって船体の破損がひどく、結局大災害になったのでは、と言う、信じ難いような説だ。

本には、この仮説以外にも、色々と事故当時の状況を物語る話が掲載されており、興味深い。私が買ったのは96年の初版だが、最近のタイタニック・ブームで、出版社が大増刷しているようで、あちこちの書店で平積みになっている。

ついでに、ひとつだけ印象的な数字を引用しておこう。女性の生存者は、一等船室で97%、二等で86%、三等で46%。男性の生存率は、同様に、33%、8%、16%。一等と二等客室の子どもは全員助かっている事と考え合わせると、船員の避難誘導はまったくおそまつだったとは言え、女性と子どもを先に救助ボートに乗せ、自らは船に残った男性がやっぱり非常に多かったと言う事実には胸を打たれる。この船のオーナーだった船会社社長のイズメイと言うオッサンは、真っ先に逃げ出して、きっちり助かっているんですけどね。