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1997/10/26 「聖書の暗号」

昨夜、深夜までかかって「聖書の暗号」読了。いわゆる、いっちゃってる系のオッサンが書いたトンデモ本だと思っていたが、著者は元ウォールストリート紙に勤めたライターで、実際にコンピュータでヘブライ語聖書を分析している数学者がいるらしい。ヘブライ語のモーセ5書(旧約聖書の最初の5編)の単語のすきまをすべて削除して、約30万字のひとつの長いテキストとし、コンピュータで等距離文字列をどんどん計算していって、指定の単語が含まれているかどうかを調べるもの。

たとえば、Hitler(ヒットラー)を調べるとすると、まず間隔なしで全文を検索。もともとヘブライ語にはこんな人名ないので、でてこないが、今度は1文字づつ飛ばして全文を検索。なければ、今度は2文字づつ抜かしてこの文字列が現れないかどうか全文を検索。とやって行くと、例えば、1458文字ごとに飛ばして読んでいった、ある部分に、Hitlerという文字が出てくる、という仕掛け。詳しい事は新潮社の原本をどうぞ。

そんなものは、長いテキストであれば、何千回も飛ばす文字数を変えて読んでゆけば、いずれは出てくるに違いない、と言うのはきわめて合理的な推定で、確かに、「戦争と平和」のヘブライ語テキストを同じように読んでいっても、同様に色々な文字列を探す事ができる。

この本の説がちょっとひねってあるのは、その文字が現れた時に読み飛ばした文字数を1行としてテキストを編集すると、(その場合テキストのどこかの部分に指定文字列が1行で現れるはずだが)その文字の周りに、色々な付帯情報が現れてくる。これは任意のテキストでは決して得られなかった結果だ、と言うもの。例えば、ヒットラーの文字の周りには、ナチ、とか殺戮者とかの文字が、タテやヨコあるいはナナメに散りばめられているのだと言う。なかなか複雑な手順で、ご推測の通り、これは人間がやれば一生かかっても終わらない処理だが、コンピュータ処理によって初めて可能になったのは言うまでもない。

まあ、その他の予言書解読の本の例にもれず、聖書にはロシア革命やニュートンの万有引力の発見、ケネディ暗殺から神戸大地震まで3000年前に書き込まれている、と言うのだが。ちょっと眉つばものだが、1900円分は楽しめる。思い付いた疑問を脈略なく上げると、こんなところか。


まあ、こんなところか。しかしタヌキ憑きの大川隆法ちゃんのうわごとや、後からどうとでも都合よく読めるノストラダムスよりは説得力あるなあ。確かに。SF好きならこの本に書かれているこんな妄想を検討してみるのも面白い。モーセに下された聖櫃は一種の未来を語るデータベースを持ったコンピュータだったが、ハードが失われた時、ユダヤ人はデータのみを書き写して、後世に伝える事にした。それが旧約聖書のモーセ5書である。なんてね。