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2007/05/21 「臨死!! 江古田ちゃん」


 

上記2冊読了。「カラスヤサトシ」に、「ライバルは江古田ちゃん」、「打倒、江古田ちゃん」、「女の下ネタには勝てない」など、あちこちに言及があって同じ週刊誌の連載らしい。漫画週刊誌を読む趣味はないが、Amazonで検索すると単行本が出てたので(1)(2)とも購入。漫画なのですぐに読める。

田舎から上京し、江古田駅近くで一人暮らしするフリーター女性の日常を一人称で描く。著者は締め切りに追われる漫画家のはずだから、リアルタイムの実体験を描いている訳ではなかろう。しかし、水商売のバイトの悲哀や、フィリピン・パブでヘルプについた時の裏話、ヌードモデルのバイト経験、はずみで男と寝た後の深夜の布団での独白など、妙にリアルで真実味にあふれているから、やはり著者の実体験が色濃く投影されているのだろう。

カラスヤサトシは万人向けだが、こちらのほうは、下ネタも多くやや毒気がある。性別、年齢、境遇などによって結構好みは分かれそうで、子供にはあんまり向いてないかな。

私自身の個人的感想は、そうだなあ、単純に好きか嫌いかで言うと、それほど好きとはいえないか(笑)。しかし、天敵「猛禽類」への敵意は、なかなか笑えるし、女性ならではの鋭い視線に感心したり笑ったりする部分も多々あり。やや屈折した主人公の、あえて幸せに背をむける自虐、フィリピンから出稼ぎに来た女性達へ示すやさしさ、田舎にはもう帰らないという決意など、妙に心に響いてくる部分もまた多い。

そう、確かに我々はみんな大都会の砂漠に住んでいる。でも、しかたがない、他にどこにも行くところがないんだから。そんな不思議な諦観ともいえる共感が、胸をよぎる部分が確かにあるのだった。評判になる漫画というのは、やはりちゃんと理由がある。