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2007/05/06 「陰謀論の罠 〜911テロ自作自演説はこうして捏造された」

日本では、ゴールデン・ウィーク終了ですな。もとよりアメリカは、連休ではないから関係ないのだが、本社から仕事のメールが届かない1週間というのは実に平穏。日系企業経験が長いアメリカ人だと、Golden Weekなんて名前まで知っていて、日本の連休をうらやましがったりもするくらい。まあ、終わってしまうとあっと言う間だ。

土曜日は会社の同僚とゴルフ。朝は気温低く、雨も降ってきて往生したが、昼前からは陽も差してよいゴルフ日和に。新兵器のテーラーメイドr7 SuperQuadは、練習ではよかったのだが、本番では不発多し。安定するまでにはもっと練習が必要。しかし、前のドライバーよりも明らかにスイングが安定して曲がりにくく、ミスが出にくい気がする。ラウンドの後、いったん帰宅してから、ランニング4マイル。やはりマイル9分かかるから、ブランクのせいでだいぶペースが落ちている。

本日も午前中にランニング。しかし右ひざに痛みが発生して3マイルでウォーキングに切り替え。心肺のほうは問題ないのだが足の筋肉が追いついてないというか。まあ、ボチボチとペースを戻さないと。その後、練習場でドライバーの打ち込み。木々の新芽が次々と新緑に色を変え、外で運動するのが爽快なシーズンになってきた。これが盛夏になると、むしろ暑すぎるくらいになるのが困り物なのだが。



「陰謀論の罠 〜911テロ自作自演説はこうして捏造された」(奥菜秀次/光文社)読了。

911同時多発テロを巡っては、「WTCセンタに衝突したのは軍用機だ」、「WTCは内部から爆破された」、「ユナイテッド93便は墜落していない(あるいは米軍に撃墜された 」など、アメリカ政府の自作自演を説く、様々な「陰謀説」がささやかれ、陰謀説を扱ったWebページも多く、DVDや本も出版されている。この本は、著者が、この陰謀説に反論し、いかに「陰謀説」が自説に都合のより事実だけを切り貼りし、オソマツな論理で根拠の無い主張を展開しているかを検証するもの。後半は「真珠湾陰謀説」などにもふれ、なぜ世界に陰謀説が絶えないのかの概説となっている。なかなか面白い。

以前、「The 9/11 Report:同時多発テロ調査委員会報告書」を読んだ時にも書いたのだが、このレポートを読むだけでも、陰謀説のいくつかについての根拠のなさを指摘することができる。

ところが著者によると、アメリカのジミー・ウォルターや、日本のきくちゆみなどの陰謀論者は、この「911レポート」すら読んでいなかったのだという。我田引水で自説を唱える人が多いのは知ってるが、これにはちょっと唖然とした。日本の本屋にも英文版が置いてあったし、webでも全文が読めるのに。ずいぶんとエー加減な輩が一生懸命に陰謀説を唱えているんだな。

昔から「陰謀論」の本は大好きで、有名なものはだいたい目を通している。しかし、この「トンデモ系」陰謀説に説得力を持たせるには、実はずいぶんと唱える人の知的力量が必要だ。凡百の「陰謀論」は、その真実味において、フィクションであるウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」をまず超えない。むしろ、被害妄想的「電波系」の書いた本の中には、読むに耐えないものまである。911陰謀論もその例外ではない。そのお粗末さを俯瞰した批判として、この本はなかなかまとまっており、読み応えがあった。

同じ著者の、「落合信彦 破局への道」も以前読んだことがある。naiveな落合信者にはちょっとショックな彼の実像を描き出した批判本。ただ、この本は、粘着質な落合批判があまりにも多く、個人攻撃に堕する部分も多々あり、読んでいてちょっと辟易するところがマイナス点。結果的にマイナーな著作に終わったのも、その読後感の悪さが原因ではないだろうか。ただ、今回のこの本の場合は、相手が「陰謀論」という抽象であり、著者の「粘着性」がよい方向に発揮されたような気がする。いや、よい「粘着」なんてあるのかと問われたら困るのだが。はは。