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2007/04/06 「サイバラ茸6」

「酔いがさめたら、うちにかえろう」再読。著者の死を知ったのは日本出張中のこと。ガンであったことが発覚した後、アルコール中毒治療病棟で行われた、著者の体験発表(自らがアル中になった経緯を人前で発表し、全員で話し合うカウンセリングの一種)が何度読んでも凄まじい。本人の資質や成育環境もあるだろうが、カメラマンとしての壮絶な戦場体験が、かなりの部分で著者が壊れてしまった原因なのは明らかなように思われる。開高健は、ベトナム特派員として南ベトナム政府軍に従軍、200名中生還者は17名だけという反政府ゲリラの攻撃に遭遇し、奇跡的に生き残ったのだが、その極限体験は、『輝ける闇』などの作品に結実した。ただ、彼も浴びるほど酒を飲んで、58歳で死去したのであったが。

鴨志田氏が闘病生活を描いたエッセイを連載していたサイトでは、未完の原稿が置かれ、連載終了のお知らせ。西原理恵子公式サイト鳥頭の城では、「故・鴨志田穣お別れ会」と共にしばらく仕事を休止する旨のお知らせが。

同じページに、「サイバラ茸6」発売のお知らせがあったので早速Amazonで注文。

3月27に発売されたばかりらしい。Amazonから、時折妙なお勧めメールは来るのだが、「サイバラ茸5」もAmazonで買ったのに、なんで「6」の発売はお勧めメールとか来ないのかね。メールでお勧めするのはロング・テイル系だけで、売れるのが予想されてる本は特にお勧めするまでもないのだろうか。どんなロジックで何を「お勧め」してるのか、なかなか興味深い。

2007/04/11 「サイバラ茸6」読了。

今朝起きると横殴りの雪。すでに1インチほど積もっている。気温は華氏で35度程度だから道が凍りついたりはしないだろうが、この時期に雪が降るのも珍しい。4月になったばかりの頃は、暖冬で去年より芝生が緑になるのがずっと早いなどと言っていたのだが、最後にちょっと調整が入ったか。予報では、明日も土曜日も小雪模様だとか。まあ、雪は夕方には止んで、もうだいぶ溶けているのだが、それにしてもかないませんな。

3月27日発売の「サイバラ茸6」をAmazon.comに発注したのが4月6日。昨日10日に届いた。結構早く太平洋を越えてくるもんである。さっそく読了。

1コマの挿絵漫画など、割と小品が多いのでスイスイ読める。ただ、全体に(まあ、もともと丁寧な仕上げとは無縁の漫画ではあるのだが)だいぶ絵が荒れている気がする。鴨志田穣との離婚、その鴨志田のアルコール治療閉鎖病棟への入院、その後の闘病生活支援と実質的復縁など、プライベートで大荒れの時期であったのは確かで、なんらかの形で仕事に影響があったとしても不思議はない。

しかし、この本収録の作品に一番多く出てくる人物が、その鴨志田穣。サイバラの中で彼が占めていた大きさ、重さというのがよく分かる。彼が腎臓ガンで亡くなったのがこの3月20日。ちょうどこの本がその追悼の書となるだろうか。

「酔いがさめたら、うちにかえろう」には、彼がひどいことを言って何度も妻を傷つけ、泣かせたことが書かれている。しかし、サイバラは自らを、ダメな夫を虐待する鬼嫁として描く。「好きになってしまったんだから、もう仕方ない」というある種の不思議な諦観が、この本の随所に現れているようなところが、著者の健気なところであるという気がするのだった。