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2007/04/01 「最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか」

「最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか」読了。その昔、柳田邦男の航空機事故のドキュメントは何冊も読んだ。原発事故関係の本もずいぶん読み漁った。日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」なんかも面白い。思うに、人間が引き起こす失敗、そして巻き込まれる事故の報告には、後になって分かる示唆がたくさんあり、もとより実に興味深いものなのだ。

チェルノブイリ原発事故、スリーマイル島原発事故、チャレンジャー号爆発、インド殺虫剤工場大爆発、コンコルド墜落などなど、メディアで大々的に報道された有名事故も、この本で初めて知った事故もあるが、語られるエピソードはどれも興味深い。

大きなシステムを制御しようとすると、必ずなんらかのヒューマン・エラーが起こるのは防ぎようがない。しかしその連鎖が巨大な事故を引き起こさないよう、どんなフェイル・セイフ・システムが組み込まれているか、あるいは異常に対処する所期の人間の反応によっていかに結果が変わってくるか、それぞれのケースで語られる物語は、事実にしかない重みに満ちている。ただ、この著者の、ひとつのエピソードが終わる前に次々思いついたケースを並べ立てるような語り口は少々読みづらいのだが。もっとも取り上げられているケースが実に多種多様で、拾い読みしても飽きないのがよいところか。