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2006/10/25 「遺品整理屋は見た!」

昨日の夜は、「遺品整理屋は見た!」(吉田 太一/扶桑社)を半分ばかり読んだ。著者は、「遺品整理」専門会社、「キーパーズ」の経営者で、ブログに書いた日記を本にしたもの。

読む前に漠然と抱いた「遺品整理業」とは、亡くなった人のいる家に呼ばれ、価値あるものを買い取るような業務。しかし、実際に本を読んで見ると、この著者の会社が行っている仕事は想像を超える。

病院や、自宅で家族に看取られて亡くなったような事例は数少ない。確かに考えてみると、そんな事例でわざわざお金を払って「遺品整理屋」に片付けは頼まないだろう。普通の家なら形見分けをかねて親族が整理する。もしも高価な遺品があって処分するのなら、きちんとした骨董屋を呼べばよいだけのことである。

著者の会社に「遺品整理」を頼むのは、孤独死した独居老人、自殺者などの家族、または住んでた場所の大家。しかも、ほとんどが死亡してすぐに発見されなかったケース。死亡後何週間も経ち、死臭が充満し、死体が溶け出して染みになったような部屋の清掃。血だらけのゴミ屋敷の整理。バケツ1杯ものウジ虫の片付け。腐敗した身体が半分溶け出した浴槽の清掃。まさしくスプラッタ・ホラーのような、とんでもないダーティー・ジョブばかり。

自殺など不審死では、死体そのものは警察が運んで行くだろう。だが、確かに誰かが現場の後片付けをしなければいけない。そんな汚れ仕事を、著者の会社が受託している訳である。

家族も知らなかったような遺品が明らかになるケースも多々描かれて、これまた人生の奥深さを感じて興味深い。まあ、しかし、死後何週間も経って発見されたような死体現場に入ってゆく描写は壮絶。本には46話掲載されているのだが、半分くらい読んでもう十分だという気分に。就寝前に読むには、実に夢見に悪い影響ありそうな本。独居老人の孤独死は年々増えているという。誰にも知られずに死ぬというのは、本人がよくても、後始末が実に大変なんだ。もしも一人で死ぬとしても、誰かに知らせてからでないと、ずいぶんあちこちに迷惑がかかる。それはやはり避けたほうがよいよなと思ったことであった。