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2006/08/16 「新説 東京地下要塞 〜隠された巨大地下ネットワークの真実」

「新説 東京地下要塞 〜隠された巨大地下ネットワークの真実」(秋庭俊/講談社)読了。この著者は、「東京の地下には、戦前から軍部や政府が秘密の地下道ネットワークを構築しており、今でもそれを隠し続けている」という、いわゆる「帝都地下陰謀論」を熱心に説く。どの本も同工異曲で、書くのはこのテーマ一本槍なのだが、結構何冊も著作が出ているのだ。

以前にも、「帝都東京・隠された地下網の秘密」を読んで感想を書いた。本筋から脱線したり、肝心なところになると急に隔靴掻痒な結論になったりと、文章や書きっぷりに難もあるのだが、いわゆるトンデモ本として、陰謀論を気楽に楽しむ気分で読むと面白い。

確かに、普段は当たり前のように思って見ている東京の地下も、この著者の一連の著作のように「陰謀論」に立脚して見直すなら奇妙に感じる場所がある。首都高の、なぜここでと思う不思議なカーブやトンネルと合流。東銀座、三原橋のなぜこんなところにあるか分からない地下街。地下2層で、実に壮大な長さの西銀座駐車場は、いったい誰が作ったのか。銀座線浅草駅につながる奇妙な地下街。そういえば、銀座線新橋駅に、もうひとつ幻のホームが存在するというのは有名な話で、別の雑誌でも一度読んだことがある。

今回の著作でも、サンシャインシティの知られざる巨大地下構築物やら、都営浅草線の謎など、東京に住んでると、ああ、そういえばそんな場所があったなあ、などと思い出すと面白い。見慣れた地下街の開けたことのない扉を開くと、そこには誰も知らない見知らぬ地下道があるのでは。リュック・ベッソンの映画、「サブウェイ」が描いた虚構のパリ地下のように、東京の地下にも隠された奇妙な世界が広がっているのではと空想するのもまた楽しい。