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2005/12/04 「ソニーとSONY」 

「ソニーとSONY」(日本経済新聞社編)読了。大賀CEOから出井CEOへの権力移譲。株価の高騰と、世界的に高名な名経営者としてその名前を轟かせた出井CEO。しかし絶頂と見えたソニーを襲う業績低迷と「ソニー・ショック」。役員人事へのOBの介入、ストリンガーへのCEO承継の内幕。ここ10年間のソニー経営の内実を描いてなかなか面白い。

本を出したり、メディアで経営を語ったり、著名人として幾多の会議に出席したり。出井CEOについては、顕著な実績が無いうちから過大評価されているのではという印象があったが、逆に相次ぐ業績低迷に市場の信任を失ってからは、その責任以上に叩かれたような気もする。メディアは嬉々として自ら偶像を作り上げ、そしてその失墜を叩く、いつものそんな顛末でもある。

それにしても、CEO就任前は広報担当の常務でもあり、アメリカ流の社外取締役が過半を占める委員会制度を他社に先駆けて導入した出井が、業績下方修正の外部発表のタイミングが悪いことによって躓き、指名委員会によってCEOの職を追われるというのも皮肉な出来事ではある。

内容的には、日経ビジネスで報道済みのような内容が多いかも。しかし、例えば、米国ソニーのアメリカ人経営者が、盛田や大賀のような絶対権力を持つ創業世代の日本人ボスに、いかに気を使っていたかが伺える細部の記述が面白い。著名人が出席する国際会議に日本人ボスを出席させたり、著名なオーケストラのタクトを振らせるよう便宜を図ったり、名画の購入を手伝ったり。絶対権力を持つ日本人ボスに、「愛い奴じゃ」と思われないと出世しない、日系企業に勤めるアメリカ人エクゼクティブの悲哀というか。ま、お金もたくさん貰ってるのだからそれが仕事なのだが、日本から大ボスが来ると、アテンドが大変だったろうなあ。そんな瑣末なところが興味深かった。