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2005/06/27 「土地の文明〜地形とデータで日本の都市の謎を解く」

日曜午後は部屋で読書。「土地の文明」(竹村公太郎/PHP研究所)読了。「地形とデータで日本の都市の謎を解く」と副題がある。文書化された歴史だけでは読み取れない様々な日本の都市や文化にまつわる謎を、地図やその他のデータを活用することにより解読し、都市文明の本質に迫るというノンフィクション。

大向こうをうならせるような大ネタではないのだが、粒ぞろいの小ネタで勝負という印象の本。地図を読むのが好きな人なら気に入るだろう。

半蔵門は、なぜ橋ではなく土手なのか。皇居の「裏門」という通説は本当か。赤穂浪士の潜伏場所と吉良家移転から読み取る徳川幕府の意図。頼朝が鎌倉に幕府を開いた理由。京都、江戸遷都が必然であった理由、大阪五・十日(ごとび)の渋滞はなぜおこるか、などなど。著者は、日本の津々浦々の都市を鳥瞰しながら、そこに潜む歴史的・地理的謎の数々を解明してゆく。

奈良県のホテル客室数が全国都道府県で最低であることから読み取る、奈良の都市としての停滞。人口増加している市町村は、高速道路幹線沿線と見事に重なっているなど、随所に挿入されたデータも興味深い。話にはところどころ脱線もあるのだが、全般として面白い読み物として成立している。