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2005/03/19 「夢のゴルフコースへ」

「夢のゴルフコースへ」(伊集院静・宮本卓/学研)読了。作家、伊集院静が巡ったアメリカの名ゴルフ・コースを写真入りで紹介する本。「米国西海岸編」と副題がついているが、おそらく他の地方も別の本が出るのだろう。

紹介されるコースはどれも素晴らしい。この本に所載のコース中、私が実際にプレイしたのは、モントレー半島にある「スパイグラス・ヒル」だけだが。鬱蒼とした森林と太平洋、両方を満喫できる実に美しい場所だった。

グリーン回りには、サラサラと輝く白砂のバンカーと、特有の海浜植物。ラフに打ちこむとまず出ない。そう、この本に掲載されている写真の通り。そしてまるで鏡のように手入れの行き届いたグリーンはアンジュレーションに富み、ボールは実に綺麗な曲線を描いてフックし、そしてスライスして行く。この本には、コースに鹿が出てきた写真が掲載されているが、カリフォルニア北部の海沿い、オールド・デルモンテやハーフムーン・ベイ、アプトスなどのコースでは、実際に鹿に出くわしたことがある。アメリカのゴルフ・コースも、実に懐かしいな。

「スパイグラス・ヒル」は、スパニッシュ・ベイ、オールド・デルモンテと同様、ペブルビーチ・リゾートに属する一連のコース。勿論、一番有名なのはペブルビーチ。ここでプレイした事はないが、出張者をアテンドしてモントレー半島に連れて行くと必ず横を通る事になる。一度、ATTプロアマが開かれる何週間か前の夕方、観客席が組みあがった18番コースに立ったことがあったっけ。木立と潮風と夕暮れに沈むフェアウェイ。実によいところなんだよなあ。

この本には、旅とゴルフを巡る考察、自然と自分との戦い、勝利の歓喜と敗北の自責を繰り返すゴルフというゲームの尽きせぬ魅力が語られ、それを貫く無頼な男の詩情が、鮮やかな写真と共に納められている。伊集院静は、こういうエッセイが実に上手いね。