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2004/10/24 「中傷と陰謀〜アメリカ大統領選狂騒史」

「中傷と陰謀〜アメリカ大統領選狂騒史」(有馬哲夫/新潮新書)読了。新潮新書というのは後発の新書であるが、最近どこの本屋でも結構スペース取って積んである。この新書は、本のネーミングと宣伝文句が優れている。「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」、「タカラジェンヌの太平洋戦争」、「牛丼を変えたコメ」、「宮崎アニメの暗号」などなど。週刊誌の中吊り広告にも似たセンスであるが、つい手に取ってしまう秀逸なのが多い。

この本の帯にも、「凡人を世界一の権力者にする方法、教えます」などとある。帯のキャッチコピーも考えられている。社内になかなかの智恵者がいるのだろう。まあ、しかし、肝心の本の中身については、著者の質にもバラつきがあり、慌てて書き飛ばしたようなものも見うけられる。すべて感心する訳にもいかないところがご愛敬。この本も大統領選挙投票日に間に合わそうと、かなり急いで書き上げたのでは。構成を練って書いたという印象は受けない。

もっとも、アメリカ大統領選挙のネガティヴ・キャンペインCMの歴史などについて、興味深いエピソードも多々収録されている。一番汚いといわれたジョンソン大統領の「ひなぎく」CM、親父のほうのブッシュがしかけた「犯罪に甘いデュカキス」を強調するキャンペイン。そして、誰も知らなかった凡人カーターがアイオワ州の党員集会で勝利を収めるや、驚愕したメディアの相次ぐ報道によって知名度が加速度的に上がり、地すべり的に民主党候補を射止める奇蹟など。アメリカ大統領選挙というのも実に興味深いエピソードの連続だ。

今回の選挙も前回に続いて大変な激戦。ブッシュではダメだと思ってる有権者にしても、ではケリーでよいかと問われると途端に途方にくれるデッドロック状態。「勝てる候補を」というスローガンで、ケリーが民主党代表戦を勝ちぬいたはずだが、今にして思うともっと他の候補であれば楽勝していたような気がするのが不思議。支持率は拮抗しているように見えるが、どの調査でもケリーは少しずつ劣勢。あとは10月31日のNFLでグリーンベイ・パッカーズが勝利することを祈るばかりか。