MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

2004/09/08 「イエスの弟〜ヤコブの骨箱発見をめぐって」 

「イエスの弟〜ヤコブの骨箱発見をめぐって」(ハーシェル・シャンクス/松柏社)読了。

イスラエル人の遺物コレクターがエルサレムで古物商から2002年に購入した骨箱。この箱には古代のアラム語で、「ヤコブ、ヨセフの息子、イエスの弟」と銘文が掘り込まれていた。現在トロントの博物館に展示されているこの骨箱が、イエス・キリストの弟のものだという主張は聖書学者、考古学者に大きな議論を呼んだ。まるで映画の導入部のようだが、実際に見つかったこの骨箱の謎を、考古学や聖書を遡って探求したドキュメンタリー。

福音書マタイ伝には、
「この人は、このような知恵と奇跡を行う力をどこから得たのだろう。この人は大工の息子ではないか。母親はマリアといい、兄弟はヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。」
という言葉がある。教義の関係から彼らを従兄弟と読む考えもあるようだが素直に読めば兄弟。福音書を信ずるならイエスには弟(複数)がいた。そして、初期キリスト教会の指導者、「義の人ヤコブ」がイエスの兄弟であったとも伝承は伝えている。

それではこの骨箱がそのイエスの弟、ヤコブの物であったら何が凄いのか。イエス・キリストについては、キリスト教の文献以外に、その歴史的実在を証明する物的証拠は現在まで見つかっていない。もしもこれが本当にイエスの弟、ヤコブの骨箱であったなら、これは史上初めて発見されたイエスの実在性を証明する物的証拠となるのだというのが著者の主張。

なかなか面白いが、これが本当にイエスの弟の骨箱であるかどうかについては確定的な証拠は無し。アラム語の単語分析と骨箱表面の残留物はこの骨箱の年代が紀元後すぐであることを示唆する。時代は合う。

しかし、「メシア」とか「義の人」とか書いてあれば別だが、ヨハネもイエスもヤコブも当時のユダヤ社会ではありふれた名前。父、兄、弟の組み合わせが同じだからといって「これがイエスの弟の骨箱」だという決定的証拠にはまったくなりえない。古代へのロマンはかきたてるのだが。この銘文の後半部分が贋作だという研究も発表されたらしい。贋作だとしたらなんとなく残念だな。

中世におけるキリストの血を受けたという聖杯探求の伝説、イタリア、トリノの聖骸布、今回のイエスの弟の骨箱。キリスト教の信仰を真摯に生きている大部分の人には、別にイエス実在の物的証拠は必要ないのだろうが、物的な「しるし」を求める人もまた多いということは歴史が語っている。欲しがる人がいるところに贋作あり。これが骨董の世界では常識。考古学的遺物についても事情は同じだろう。そういえば、トリノ聖骸布も炭素年代測定では中世の贋作という結果が出ている。

日本では、まだ大して話題になってないこの「イエスの弟の骨箱」であるが、「brother Jesus ossuary skeptic」等をキーワードにでGoogle検索すると英文サイトがワラワラ出てくる。結構、欧米ではあれこれ有名であり、議論を呼んでいるのであった。英語のサイトも暇な時に少しチェックしてみるか。



昨日の夜は築地「つかさ」。お通しはイクラ。台風の影響についてあれこれ親方と雑談。18号が日本海側を北上したら、今度は19号が太平洋岸直撃予定。水曜は築地市場お休みだから木曜以降の仕入れがかなり厳しいのでははないかとのこと。こう台風が多いと仕入れも大変だろう。

冷酒飲んでツマミを。ムツ、ブリ、カツオ。もうブリが登場。早いな。八戸と言ってたか。10キロゆかないが脂は十分の腹身。戻りカツオも濃厚な脂。蒸しアワビは大原。旨みはまだあるがそろそろシーズン終了間際。赤貝、車エビ。トリ貝がしぶとくがんばっている。中トロは大間。脂の肌理が細かくシットリして旨みあり。イワシのつみれは相変わらず美味い。白イカをちょっと貰ってお酒フィニッシュ。握りもおまかせで。タイ、スミイカ、赤身、中トロ、脳天スモーク、コハダ、酢アジ、サバ、イクラ、白ウニなど。巻物は中トロとカンピョウ半分づつ。どれも結構。ホロ酔い加減でタクシー帰宅。