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2004/01/19 「杯(カップ)」 / 「本人の人々」

「杯(カップ)」(沢木耕太郎/朝日新聞社)読了。日韓共同開催ワールドカップを取材した沢木耕太郎のルポルタージュ。観戦記というより日韓の旅行記として読んでもおもしろい。何の準備もせずにフラっと韓国のあちこちのスタジアムに行って、韓国人の親切にすがってあれやこれや迷惑もかけ、しかし最終的にはちゃんとなんとかなってしまうというのは、やはり若い頃の外国放浪経験のなせる技だ。

スラスラと読めるが、読み進めるうちに驚くのは、前回のワールドカップがいかに記憶の遠いところに行ってるかという事。トルシエなんて、もはや「あの人は今」的な実に懐かしい名前である。いずこも同じ、ツワモノどもが夢の跡なり。



「本人の人々」(南伸坊/マガジンハウス)は、読んだというか見たというか。南伸坊がカツラやマジックを活用して有名人の顔真似をし、本人になりかわってコラムを書くという雑誌の特集が本になったもの。南伸坊はご存知エラの張ったおむすび頭であるが、なんであんなに似るのか実に不思議。

村上龍やらジャイアンツ清原は、本人よりも本人らしいデフォルメが効いて、本当に爆笑ものである。文章のほうにも冴えがある。「似顔写真」ではなく「本人術」と称するところもなかなか面白い。

顔写真ではなくコラムの面白さでいうと、「ヘナチョコ加藤の乱」の加藤紘一議員、塩ジイ、山崎拓元幹事長、森元首相、鈴木宗男元議員など、特に政治家になりきって書いたものが抱腹絶倒。まあ、政治家というのは、もともと有名だし妙な言動も多いので、笑いを取りやすいキャラクターであることは事実。もっとも、こういう時事批評に類するものは同時性が重要で、オットセイ森元首相の独白などは、すでに面白さが分からない人もいるのではないだろうか。時の経つのは早いな。いやはや。