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2003/12/19 「至福のすし〜すきやばし次郎の職人芸術」

昨日、会社帰りに銀座ブックファーストに寄ると、「至福のすし〜すきやばし次郎の職人芸術」(山本益博/新潮新書)が出ていた。さっそく購入。プレジデント社のほうは写真満載だが、こちらは基本的に文章のみ。おまかせの寿司を出す順番など、内容は重複してるところがあるが、同じ職人が同じ店を語っている訳であるから、当然といえば当然か。しかし、今月だけで「すきやばし次郎」本が2冊出版。凄い話である。

ジョエル・ロビュションがタコを食べ、「ラングースト(伊勢エビ)の味がする」と言ったそうである。まあ、いくら名シェフとはいえ、フランス人に寿司の事を教えてもらうのも日本人としては情けない話だが、確かに良質のタコを茹でて塩で食すると、いわゆるシェル・フィッシュのごとき味と香りがする。考えてみると、「しみづ」のタコもそうだ。

そう思ってこの本を気をつけて読むと、「すきやばし」の仕事で「しみづ」が取り入れているものは多い。マグロへのこだわり。ワラで燻したカツオ。店で焼く海苔。客の右きき左ききに合わせておかれる寿司。酒煮にしてから漬け込こむ大原のアワビ。炙らないアナゴ。など。

もちろん、店の根本を形成しているのは師匠の「新橋鶴八」から伝来した技であるが、ハイブリッドされた様々な工夫のうちかなりの部分は「すきやばし」を参考にしたのではないだろうか。そして、「すきやばし」と違うのは、酒を飲む客を毛嫌いしないし、店の居心地もよく、値段も安いところ。