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2003/10/03 「刑務所の中のごはん」

「刑務所の中のごはん」(永井道程/青林工芸舎)読了。花輪和一「刑務所の中」で一番反響があったのが刑務所の食べ物に関しての話らしい。2匹目のドジョウを狙って、同じ出版社が「懲役」を連れてきて、1冊全部丸ごと刑務所の食について書かせた本。

ま、しかし、楽天ブックスで「刑務所」で検索しても分かるが、ムショの暮らしを描いた本は実に多い。安部譲ニだけに限らず、私も何冊も読んだことがある。やはり、自分の経験したことのない世界については誰しも興味あるものだ。

最近の刑務所では、受刑者の食事メニューに対する意見を聞く場もあるのだそうだ。「チョーエキ」は、なるたけ押しの強い奴を代表に選んで自分達の意見を託すのだそうだが、成功すると「よくやった」と誉められるかわりに、意見が通らないと「何やってんだ」と全員からやじられる。ある年の正月メニューにアイスクリームなんてものが出て、「この寒い時にいったい誰が頼みやがったんだ」と非難ごうごうだったなど、なかなか面白いエピソードがあちこちに。

刑務所の食事予算は、一日で主食が126円74銭、副食が256円26銭。月にしてひとり1万2千円弱。全国の刑務所で使う味噌や醤油は千葉、市原の交通刑務所で製造(これも自家製というのかね)してるらしいが、それにしてもずいぶんと安い。「懲役」と同義語で「臭い飯を食う」と使うが、やはり基本は麦飯。特別な時にはカップラーメンなんかも配給になるとか。

「刑務所の中」でも書いてあったが、刑務所にいると、特に甘い物と油脂類には飢餓感を覚えるらしい。毎日、好きな時に好きな物を食える幸せというのは、やはり失ってみないとありがたみが分からない。今後とも刑務所のお世話になる人生は送りたくないと思うのであった。