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2003/05/28 さっさと出て行け、二度と来るなよ、塩まいとけよ。 

「シェフ、板長を斬る悪口雑言集」(友里征耶/グラフ社)読了。フレンチやイタリアンについては詳しくないので、店の味に対する悪口雑言の妥当性については論評の限りではない。しかし、店を知らずとも、各店のサービスについての辛口批評がなかなか面白い。

昔、永六輔が、欧米と日本の一流ホテルのサービスの差について、「日本は昨日入社しましたというホテルマンがサービス。欧米は明日定年ですというホテルマンがサービス。彼我の差はそこだ」と書いたことがある。レストランのサービスにも同じことが言えるような気がする。

レストランのソムリエやメートルドテルとしての人生は、パリの街角には普遍にあるが東京にはない。サービスに対する年季が違うというのは、多分そういう事ではないだろうか。

ところで、この著者の友里氏が、「ル・レストラン・ドゥ・レトワ―ル」という店で出入り禁止になった話が興味深い。著者が店に連れていった某飲食店老舗の若社長は、全席禁煙と伝えられて逆上し、サービス係の制止を振り切り、店内でタバコをプカプカ吸いだした。そのまま灰を床に落としかねない勢いに、しかたなしに店は灰皿を用意。さんざん迷惑かけた後、帰り際にもこの若社長は店に暴言を吐き、さらに事態を悪化させた。

著者はこの店から出入り禁止を食らう。ワイン持込でこの店で開催する予定だったワイン会の予定も断られる。事前に持ち込んだワインを引き取りにいった時、著者はオーナーとまたモメる。

「若社長は非常識だが、私は何度も謝っている。メートルの応対にも問題があったのでは」、「あの日は、サービス料も支払って契約は完了している、怒りが収まらないならサービス料取らないはず」、「ワイン会のキャンセルはひどい」、「そういえば、以前この店で、鶏は2人前注文してくれと押し付けられたことがあった」などとクドクド文句をつけ、怒り狂ったオーナーに「さっさと出て行け、二度と来るなよ、塩まいとけよ」と蹴り出されるわけであった。

著者はこの事件について、このオーナーシェフの独裁主義が過ぎると、本でさんざんやり玉にあげている。さて、これは、店と著者とどっちが悪いだろうか。

周りに迷惑をかけて恥じないクズを連れてくる客は、店から出入り禁止食らって当然だと思うが、この著者の言い分は、「ここは日本、ホストでも連れていったお客を強制退場させられない」というもの。なんかこう、自分中心な気がする。著者が自分に都合よく書いた(に違いない)顛末を読んですら、どうも著者に共感はできない。性格ってのはやっぱり自ずから現れるよなあ。

そうそう、このエピソードでなんとなく思い出したのは、ネットで有名になった99年の東芝事件、クレーマーのアッキーである。懐かしいな。