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2003/04/29 「お遍路入門〜人生ころもがえの旅」

昨日の夜にも気付いていたのだが、一夜あけると顔や腕はかなり赤くなり完全に日焼けの状態。ゴルフカートも使わなかったし、一日中外を歩いたわけだから、知らないうちにかなり陽光を浴びていたようだ。先週から風邪気味なのだが、あいかわらず喉の調子は悪し。うちの会社も結構中国との行き来があるのだが、誰かがSARS持って帰ってきたんじゃないよな。まあ、咳はぜんぜん出ないから多分違うだろう。そうでないと困る。はは。

「お遍路入門〜人生ころもがえの旅」(加賀山耕一/ちくま新書)読了。四国の寺、八十八ヶ所を回る巡礼が「お遍路」。最近は結構ブームで年間10数万人が四国を歩いているのだという。タクシーやバスを使う「近代的」遍路もあるが、やはり本格は、白装束に菅笠、金剛杖をついて自分の足で四国中を巡礼する「歩き遍路」だろう。

ノンフィクション作家であるこの著者も、自身で2度「歩き」で遍路を実行している。「歩き遍路」に使える地図がついた案内書はほとんどないだとか、身支度する時の智恵、宿泊場所はどう確保するか、総費用はどれくらいかかるかなど、実際に歩いた人でないと分からないようなディテイルが実に興味深い。巡礼者に施しを与える「接待」という習慣の存在なども、四国の風土に根付いた「お遍路さん」の存在を感じさせる。

この著者は、「遍路」を「自分探し」とか「癒し」とかの流行りの言葉で総括することには違和感があると語っている。疲労や飢えを身にしみて感じながら、道に迷い、渇き、飢えながら、雨に打たれ、風にふかれ、その日の寝場所の確保を心配する。遍路とは、自分の肉体と精神に孤独に対峙し、しまいにはただ歩き続けることのみが目的となるような一種の極限体験なのだと。

歩きで四国一周の「お遍路」を完了するには、人にもよるがだいたい40日から50日。費用については俗に「1日1万円」と言われるが、宿坊に泊まらず寝袋持参でお堂に泊まったり(これを通夜をすると称するそうだが)、駅や山門で野宿するなら10万円でも回れる。仕事をリタイアしたら、一度のんびり回ってみたいような気にさせる本でもある。