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2003/03/21「魚河岸マグロ経済学」

「魚河岸マグロ経済学」(上田武司/集英社新書)読了。築地のマグロ仲卸、「内藤」の主が、マグロの流通や仲卸業について語る本。本マグロで有名な大間訪問記や、マグロのセリの様子、空輸マグロ、蓄養マグロやマグロ冷凍技術の話など、なかなか興味深い話が多い。

01年の正月の初セリで大間のマグロ3本のうち1本に2000万円の値がついたのは一般紙にも掲載されるニュースになったが、同時にセリに出た別の2本は「内藤」がセリ落としていた、というエピソードも興味深い。著者に言わすと、自分が落とした2本は400万円程度で質もよかったが、ライバルが落とした2000万円のマグロは開けてみたら肉質がダメだったんだとか。

3枚鑑札を持って、人を使ってあちこちの水産会社のセリに出るなど、規模のメリットも追求しており、多い時は1日に4000万円を扱うのだとか。なかなか商売も上手い人なのだろう。ただ、「うちのマグロがとにかく1番」という宣伝臭が全編に渡ってやや鼻につく。しかし、日本で最高級の本マグロを商ってるという自慢の割には、本に名前が出てくる得意先の寿司屋は、「吉野鮨本店」「鮨源」、そして回転の「北澤倶楽部」程度というのがやや腑に落ちないのだが。他には、有名デパート、高級スーパーの魚売り場、料亭、ホテルの日本料理屋などが上得意なのだという。月に3000万円も「内藤」からマグロを買う料理屋もあるというが、割と大量にさばくところに上得意が多いようだ。

本の作りは、著者が、大学の先生にマグロ商売の実体をレクチャーするという体裁になっており、よく言えばなかなか読みやすく仕上がっているものの、やや悪ノリが過ぎた文体であるともいえる。悪ズレした編集者が調子に乗り過ぎたか、あるいはこの著者独特のアクの強い性格が現れているのかもしれない。