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2002/03/25 「死者として残されて〜エヴェレスト零下51度からの生還〜」

辻元清美衆議院議員は、やはり辞職決定かな。政治資金規制法違反を本人が認めており、釈明記者会見でウソついてたことも明らか。事件の大小はあるにせよ、事実だけ見れば、実はムネヲよりも、取り巻く状況は悪いのである。

しかし、本質的には、「政治には金がかかる」という仕組みそのものを変えないと、同じことはいつまでも起こる。精錬潔白で貧しい議員は次々に落選し、金集めの上手な議員だけが生き残る。本当にそれがよい政治の姿かといわれれば、よいはずなんてないのだが。



しばらく放置していた、「死者として残されて〜エヴェレスト零下51度からの生還〜」を読了。

1996年、チョモランマ(エベレスト)で、2つの登山隊を巻き込み、9人の命を奪う大遭難事故が発生した。この遭難では、日本人登山家、難波康子も命を落とした。この本は、この遭難にまきこまれ、死んだものと見捨てられながら、自力で奇跡の生還をしたアマチュア登山家、医師ベック・ウェザーズが、その軌跡の生還を語ったもの。

突然の悪天候による大遭難。著者は、キャンプに返りつくことができず、ブリザードのエベレストに取り残される。翌日の朝、キャンプから出た捜索隊は、難波康子とともに雪洞に横たわっていた著者を発見。しかし、全身を氷に覆われ、自力で動くこともできない著者は、まさに虫の息。

捜索隊の医師は、ウェザースの助かる見込みは無いと考え、そのまま放置することを決定。この判断を責めることはできない。超高所で低体温による昏睡に陥ったら、誰も助からない。これが登山者の常識である。ベースキャンプには、彼は既に死亡したと無線で連絡し、ダラスにある彼の家まで訃報は届く。

ところが、著者は、なんたる奇跡か、その後、自力で動けるようになり、夕方に、自分で歩いてキャンプまで戻ってくるのである。まさに死者の復活に等しい凄い話。ウェザースの右手は手袋が脱げ、掌は頭にガチガチに凍り付いていたのだという。まさにゾンビが歩いてるかのような光景だったろうなあ。

しかし、話はこれで終わらない。ベースキャンプは、ウェザースは、どのみち助からないと判断し、彼をたったひとりで一晩テントに放置するように指示。エベレストの極限では、死ぬと分かっている人間を下界に助け下ろす余裕など誰にもない。彼を、自然に死ぬに任せたのである。また見捨てられた彼だが、驚くべきことにその一夜をも生き延び、撤収するチームについてゆくことができた。なんと、ヘリコプターが迎えにくる地点まで、自力で下山したのである。

彼は重度の凍傷で右手、鼻、左手の指全てを失ったが、無事生還。いやはや、もの凄い物語だ。それにしても、当時、ウェザースは49歳。まあ、凄まじいまでの体力と生命力を持ったオッサンがいたものである。つくづく感心した。