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2001/07/21 古代マヤの水晶ドクロ

昨日の夜は、「オカルト探偵ニッケル氏の不思議事件簿」読了。著者のジョー・ニッケルは、アメリカの反オカルト団体、CSICOPのメンバーで、マジシャンや私立探偵などの職歴を経て、現在では大学で教鞭をとりながら、いわゆる超常現象や怪事件の真相調査を行っている。

CSICOPとは、「Committie for the Scientific Investigation of Claims of Paranormal」の略なんだそうで、「超常現象であるという主張を科学的に調査する委員会」という意味。心霊現象、超能力、UFO、まじない医療などにメスを入れて、特にインチキ商法などを徹底的に糾弾するところは、なかなか世の中の役に立っているといえる。

この本は、イギリスの幽霊屋敷や、アメリカで評判だった心霊写真、古代マヤ文明の水晶ドクロ、ダウジング、人体自然発火などについて、著者が実際に調査した結果をまとめたもの。幽霊屋敷は隣の建物の騒音だし、布に浮かび上がった心霊写真は、レーザーを当てると、有機溶剤で転写されたのが明らかである。まあ、なかなか超常現象ってのは存在しないよなあ。

個人的に残念だったのは、A.C.クラークが自著でも触れている、古代マヤ文明の遺産と言われる有名な水晶ドクロについての調査。この水晶ドクロは、クラークが監修したTV番組のオープニングにも使われたし、オーパーツ(古代にあったはずのない不思議な遺留品)としても有名だ。こんなページもある。

この水晶ドクロは、探検家ミッチェルヘッジズが、古代マヤの遺跡から見つけたと伝承されていたが、著者がよく調べると、ミッチェルヘッジズの著書にそういう経緯が書かれているのは最初の版だけ。後の版では、ミッチェルヘッジズ自身がその主張を引っ込めて沈黙を守っている。古代マヤ文明の遺産であるというのは、伝言ゲームのように根拠無く伝えられたウワサであった。

それどころか、1940年代にロンドンの美術商から、ミッチェルヘッジズがこのドクロを購入した記録まで見つかっている。そもそもが水晶を削り出した工芸品だけに、放射性炭素などの年代測定は不可能。3500年以上前に製作されたという伝承は、発見時の経緯だけを根拠にしていたわけである。それがウソであったということになれば、あの水晶ドクロは、近代の工芸品ということになる。

最初にこの水晶ドクロを写真で見た時は、古代にどうやってこんなものを製作したのがびっくりしたが、裏側を知ると、夢のない話で、オーパーツでもなんでもなかったということだ。A.C.クラークも、さぞや残念であろう。