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2001/06/05 「喪失の国、日本」はホントにインド人が書いたか。

今週の週刊朝日を読んでたら、「『喪失の国、日本』著者ホントにいるの?」という記事が目にとまった。この日記の2月24日でも紹介した本だが、インド人ビジネスマンが書いた日本滞在記、「喪失の国、日本」に、実はインド人の著者はおらず、翻訳者の山田和氏が自分で書いたのではないかという疑惑が囁かれているらしい。

週刊朝日の記者が翻訳者に取材したところ、山田氏は、インドで出版されたという原著も、著者から送られてきたという英訳も記者には提示しなかったという。

まあ、しかし、いちがいに信じ難い話だなあ。日本人が外国人になりすまして書いたというのは、山本七平の「イザヤ・ベンダサン」が有名だが、他にも、週刊新潮に連載されていた、「ヤン・デンマン」だとか、経済誌に連載されていた「在日フランス人の眼」とやらのボール・ボネとか、色々いる。

しかし、上記の本は、だいたい一読したらすぐに日本人が書いたと分かる。一番簡単に判別する特徴は、彼らが(外国人のはずなのに)日本人や日本文化を倦まずに語り、得々として日本人に説教して止まないという点である。

ま、要するに、外国人の威を借るなんとやらという奴で、そういう面では、2ちゃんねるで匿名や「なりすまし」で大暴れする阿呆とちょっと似ている。ま、これが日本人の(あんまり誉められない)民族的特徴と言おうか。

しかし、この本を読むと、そういう日本人による「外国人なりすまし」本によくある印象を受けないのである。読後感は、むしろ、正真証明のアメリカ人、ロバート・ホワイティングが書いた、「菊とバット」や「和をもって日本となす」に近い。三島由紀夫について語っているのが、ちょっと妙な気がする程度か。

翻訳者の山本和は、インドに関する著書もたくさんあるインド通なんだそうだが、そういう面では、この「喪失の国、日本」は、万一、彼が書いたのだとしても、たいへんに日本に対する記述に抑制が効いている。得々として外国人になりすまして日本人に説教する態度がない。インドに対する造詣も、なみたいていではない深さだ。しかも、読んでおもしろい。

もしも、日本人が書いたのだとすると、これほどまで外国人に対する「なりすまし」が成功した例を知らない。そうだとしたら、ある意味、稀有な成功作である。本屋で見かけたら、記念に買うべし。ははは。