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2001/05/10 「指紋捜査官」

昨日は「指紋捜査官」(堀ノ内雅一/角川書店)読了。警視庁で「指紋捜査の神様」と言われた人物に指紋捜査の実態をインタビューしたルポだが、なかなか面白い。

指紋というと、すぐに「犯罪」とセットで連想が働く。外国人登録での指紋押捺拒否運動なども、やはり「指紋取られる」という事が、犯罪捜査に直結した印象を与えるというところに遠因があるだろう。「犯罪する気がないのなら、指紋登録しても平気だろう」、と言われても、私だって指紋を役所に登録するのは嫌である。日本人に強制したら暴動でも起りかねないことを、在留外国人だけにお上が強制するのは、やっぱりフェアではないという気がする。

指紋に暗いイメージがあるのは、最大のユーザーである警察庁自身にも責任がある。犯罪者に悪用されることを恐れて、警察庁は、指紋捜査の詳細については従来から捜査員にも緘口令を引き、様々なノウハウも秘密にしてきたのである。

しかし、「指紋捜査の神様」に言わせると、航空機事故での損傷した遺体の身元確認や、指紋を鍵に使ったセキュリティへの応用など、犯罪捜査以外でもあれこれと指紋は生活の役に立つのだという。

手袋して指紋を隠すと、逆に犯罪歴を窺わせて犯人を絞り込む情報のひとつになるとか、オウム事件で指紋を消そうとした指はかえって目立ち、判別が容易だったとか、殺人に使われた刃物などの凶器は、強く握り締めるからか、逆に指紋が取り難い、などなど、指紋にまつわる興味深い事実もいろいろと語られている。

そういえば、花川戸の女子大生刺殺では、遺留品からの指紋は検出されてるのだろうか。凶器からの検出は難しいかもしれない。レッサーパンダ帽子は、素材からして表面は可能性ないだろうが、脱ぎ捨てる時に内側の裏地にはついてる可能性がある。

犯人が手を洗った公園の洗面所の水道のノズル、被害者の衣服、バッグなどからも、鑑識課は徹底的に指紋採取をしてるのだろう。この本を読むと、そういう「モノに聞く」捜査の裏側が色々と推測されてくる。ひとつの技術を磨くことだけに生きた職人の一代記をして読んでも興味深い。それにしても、浅草警察も、帽子男を早く捕まえてほしいもんだ。<と書いたら、逮捕されたとTVのニュースが流れてきた。いやはや。