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2001/03/24 大使館なんかいらない

昨日の夜は、「大使館なんかいらない」(久家義之/幻冬社)読了。阪大医学部卒業して勤務医をしていた著者が、外務省の医務官となり、海外の日本大使館に勤務した時の体験を語り、外務省の実態を暴くという本。

外務省の機密費着服問題や、海外赴任3年で1億ためた外交官がいるなどという話が最近のメディアを騒がせているが、この本を読むと、確かにそういう事実はあって当たり前だということが分かる。実際に大使館の中で勤務し、しかし医者ということで外務省ではヨソ者だった著者のポジションも、暴露本を書くには好適だ

この本に書いてある中で、一番アキレたのは、「海部首相タマゴ事件(私が勝手に命名)」。湾岸危機に際して当時の海部首相は、サウジアラビアを訪問し迎賓館に宿泊した。一緒についてきた茶坊主秘書官は、朝食に際して、「首相は3分きっかりボイルしたユデタマゴがお好きである」、と大使館スタッフに厳命したが、できあがりが気に入らない。結局、随員の分も含め、5回も作りなおしさせたのだという。

政界では何の力もなかった能無し首相、ダメオヤジ海部俊樹にして、王侯貴族のような扱いを要求するのだから、本当の実力宰相や幹事長が外遊したら、いったいどういう騒動になってるのだろうか。

キャリアとノンキャリのまるでカースト制度のような差別待遇。入省の時の試験成績によって違う、その後の外交官人生を左右する専門言語の割当。赴任地の言語もロクにできない職員が大勢いて、外地での情報収集力などほとんどない大使館。海外での驚くべき高給。普段は見ることのできないお役所の世界というのも、なかなか興味深い。

もっとも、ヨソ者であって外務省の序列にはこだわらない著者だから忌憚なく書けた本書ではあるが、外見に隠された深い事情や、各種制度の本当の意味やウラ事情については、やはりヨソ者故に知らない部分も多かろうし、その点はいくぶんか割り引いて読む必要はあるだろう。

まあ、外務省はよそのお役所のように外郭団体がたくさんあるわけではない。天下りしてゆくような権益も少ないし、政治判断を左右するような影響力も実はあんまりない。キャリアが定年までずっといるということになると、省内での出世争いばかりに血道を上げる官僚が多いのもうなづける話だ。これだけ世界が狭くなると、確かに外務省なんて専門のお役所も、あんまり必要ないかもしれないなあ。