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2000/05/17 「聖の青春」 / ネアンデルタール人のようなリーダー

昨日の夜に、「聖の青春」(大崎善生/講談社)を読了。病没した天才棋士・村山聖(さとし)九段の短い人生を描いたノンフィクション。

子供の頃から難病のネフローゼにかかり、ほとんど病院暮らしであった村山少年は、ふとした事から将棋に興味を持つ。その奥深さにのめり込んだ彼は、ベッドで将棋の本を読みふけり、プロ棋士も驚くほどの将棋の才能を開花させる。

病魔と戦いながらもプロ養成機関である奨励会に入り、入退院を繰り返しながら、恐ろしいまでの努力と才能でプロ棋士になり、ついには名人戦を争うトップレベルA級にまで昇格。

世間との接点は、ほとんど将棋だけだった彼は、自らの生の証として、どうしても名人になりたいと執念を燃やし続けるが、名人を目前にして病が再発。体調不良に苦しんだ後、郷里の病院で膀胱ガンであることを告げられる。手術するもガンが肝臓に転移して病没。まだ29歳の若さだった。

早く名人になって将棋を辞めたいと言い放った村山は、難病に冒されたみずからの命が長くないことを子供の頃から予感していたに違いない。将棋一筋に短い人生を燃やし尽くした村山の、純粋で直情径行で、だからこそ鬼気迫る人生を、将棋雑誌の編集長として間近で観察した著者が見事に描いている。

村山の師匠となった森信雄は、棋士としては型破り、自堕落で破滅型の人間であるが、その森と村山との、心の奥深いところで魂が触れ合ったとしかいいようのない、ちょっと奇妙でそして密接な師弟の交流も深く心を打つ。将棋界を嵐のように通り過ぎた薄幸の天才を記録した、まるでドラマを見るようなノンフィクションである。一気に読了。


ニュースでは、森首相の「神の国」失言があれこれ波紋を広げているようだ。森首相を評して、「ノミの心臓、サメの脳味噌、オットセイの下半身」というらしいが、就任そうそうこれほどボロカス言われる首相ってのも珍しい。ま、個人の思想信条は自由だが、公の場での発言で、ああいう時代錯誤的な修辞を使うというのも、アホウなオッサンである。

しかし、勉強も努力もせずに、進学も就職も親父のコネ。政界に入れば、確固たる信念も政策も無いが、気が回って上には従順で、下には横柄で威張る。ある意味、典型的な日本型ムラ社会に特有の、ネアンデルタール人のようなリーダーである。しかし、残念ながら今までの日本では、ハッと気づいてみれば政治の世界でも企業の世界でも、たいていこういう奴が偉くなってるのだよなあ。