July 23, 2003

20030723.jpg踊る大捜査線 THE MOVIE 2~レインボーブリッジを封鎖せよ!!(以下「OD2」)を観て来たので感想を。

娯楽映画としては日本映画で今までに無い完成度の高さ。どう作れば映画が売れるかという事を熟知したプロデューサーが、良質のシナリオと一流の役者・スタッフのチームワークを得れば日本でもハリウッドに負けない和製娯楽大作を産み出すのが可能だって証明出来た気がする。絶対お勧め。

===以下、ネタバレ有りなのでご注意!!===

 

ハラハラドキドキさせて笑わせて泣かせる。1シーンの中でも観客は感情の振り子を喜怒哀楽にぎゅんぎゅん振り回されるから138分間時計を殆ど気にすることなく楽しむことが出来る。唯一いかりや長介演じる和久さんが病院で泣くシーンだけは冗長だったな。プログラムで監督があの泣きのシーンは最高だったと言ってるから思い入れも有って長く使いたかったんだろうけどね。

あとキャスティングで岡村を使ったのは失敗だったかな。彼の演技には全然非は無いが、岡村が出てくるだけで笑う客が多すぎ。凄いシリアスでイイ演技をしてるのに、最初からくすくす笑うんだよね。雰囲気ぶち壊し。前半は謎に包まれた連続婦女暴行魔でストーリーに緊張感を与えて、最後捕まる時にお笑いで感情を弛緩させるのが狙いだったとするなら、最初から笑われてちゃネタバレみたいなもんだ。

シナリオ的には前作に比べて、今回の方が勧善懲悪をハッキリさせていて良い。この物語のヒールは決して犯人ではなく、織田裕二演じるヒーロー青島の敵=所轄を虐める旧態依然とした警視庁。今回のその警視庁の悪しき部分を象徴するヒールとして真矢みき演じる女性管理官沖田仁美によって、観客はより感情移入しやすい物語に仕上がっている。
だから物語としての最大のクライマックスも犯人逮捕じゃなくて沖田仁美が捜査本部長から更迭されるところ。後はヒーロー達の大活躍を安心してたっぷり楽しめる、恋愛模様や友情なんかのサブストーリーがキッチリ効いてくるんだよね。


そしてこの映画で一番ビックリしたのは、その沖田仁美という女性キャリアをヒールとして描ききったところ。「出世欲が強く」「女性であることを武器にする」「権威主義で威圧的」「部下の気持ちを考えない」「反発されるとヒステリックに張り合う」「ルールに縛られ融通が利かない杓子定規」「マニュアル君だから想定外の状態に陥るとすぐパニックに陥る」「パニックに陥ると支離滅裂」という、「それってアルアルアル~!」みたいな見事な駄目女性上司に描ききっている。

みんなあんまり口に出さないけど、社会進出している女性を否定するのはタブー視されてるよね。それを正面切ってダメダメに描いた映画・ドラマってOD2が初めてのような気がする。これがもし単なる男性の東大卒官僚だったら感情移入できる度合いはグッと下がったはず。

働いてる女性がどのような感想を持つか不明だけど、こういう風刺が普通に映画で出来るようになってきたことは逆に良い風潮じゃない?つまり男も女も駄目な奴は駄目。「女性を登用すれば開かれた良い組織」と勘違いしてる警察組織の旧態依然さを表現できてて良かったね。

所轄VS本庁という構図で作品を作ってるとどうしても「反体制」イデオロギーに傾きそうになるけど、最後は「組織も悪いもんじゃない」と綺麗に纏めて高感度アップ。

娯楽性、メッセージ性、共に大満足させてもらった一本。★5つですね。

 

[追記]
書き忘れたが、「上手く作ってるなぁ~」と感動したのは「音」

冒頭の爆音で耳が聞こえなくなるシーンは犯人逮捕シーンで青島に心を開くSATとのエピソードに深みを与えるし、恩田すみれが撃たれた直後の長い長い静寂はまるで自分がその場にいて頭が真っ白になったかのようなリアリティーを覚える。

これは家じゃ絶対に味わえない!!

DVDでレンタルなんてセコイ事言わずに、映画館で見なさい。この二つのシーンだけでも映画館に足を運ぶ価値は十二分に有る。

[ Review ]
Posted by gori at July 23, 2003 12:42 PM | コメント - 0件 | TrackBack - 0件
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